
造園・外構コラム
特殊伐採とは?やり方からかかる費用まで詳しく解説
目次
自宅の庭木が成長しすぎたため切り倒したいけれど、「大きすぎて倒す場所がない」「住宅や電線が近く、普通の伐採では危険」と困っている方はいませんか?
そのような場合に検討されるのが「特殊伐採」です。
特殊伐採は、住宅街や傾斜地など通常の方法では木を倒すことが難しい場所で、ロープ技術やクレーンなどを活用しながら樹木を少しずつ切り分け、安全に伐採する方法です。
この記事では、特殊伐採とはどのような伐採方法なのか、必要になるケース、注目されている理由、吊るし切りやツリークライミングなどのやり方、必要な道具、費用の目安まで詳しく解説します。
群馬県前橋市を拠点に造園・伐採工事を行う緑地開発の対応についてもご紹介しますので、大きくなりすぎた庭木や危険木にお困りの方は参考にしてください。
特殊伐採とは?
特殊伐採とは、大型重機が使えない住宅街や傾斜地などで、作業員がロープ技術を活用しながら樹木を少しずつ切り分け、安全に伐採する方法です。
通常の伐採では、木を根元付近から切断し、安全な方向へ倒す方法が用いられることがあります。しかし、住宅が密集している場所や建物・道路・電線などが近い場所では、木をそのまま倒すためのスペースを確保できないケースがあります。
特殊伐採で樹木を伐採する必要があるのは、例えば以下のような状況です。
- 住宅の敷地内や狭い庭に、大きくなりすぎて倒せない樹木がある
- 傾いていたり、いつ倒れるかわからなかったりする危険な樹木がある
- 建物や電線が周囲にあり、木や枝が干渉していて通常の方法では樹木を倒せない
- 足場が不安定で危険な場所に樹木が生えている
特殊伐採は、周囲の建物や道路、電線などへ影響を与えないよう配慮しながら、安全に樹木を伐採するための専門技術だと言えるでしょう。
特殊伐採が注目される理由
特殊伐採が注目される理由には、どのようなものがあるのでしょうか。
主な理由を3つご紹介します。
倒木の被害から人命を守る必要があるため

画像出典: 国土交通省「倒木等による事故に関する全国調査について」
特殊伐採が注目される理由の一つは、倒木事故から人命を守る必要があるためです。
国土交通省が令和3年度から令和6年度にかけて行った倒木等による事故に関する全国調査の結果によると、都市公園や道路における倒木事故の件数は増加傾向にあり、令和6年度には死亡事故も発生したことがわかりました。
また令和8年3月には、国土交通省が地方自治体による街路樹の点検調査を強化することがニュースとなっています。
庭木についても、幹が傾いている木や枯れ枝が多い木、建物や道路側へ大きく張り出している木などは、強風や台風、積雪などによって枝折れ・倒木につながる可能性があります。
これらのことから、特殊伐採による倒木事故防止にも注目が集まっていると言えるでしょう。
高い技術を必要とし、技術継承や教育体系について研究が進められているため
特殊伐採は、作業条件が厳しい場所や高所での作業が必要となるため、高い安全管理技術と作業技術が求められます。
チェーンソーを扱う技術だけでなく、ロープワーク、高所での身体確保、枝や幹の重量を考えた吊り下げなど、現場に応じた判断も必要です。
そのため技術継承や教育体系について研究が進められており、令和元年度には東北森林管理局が行った森林・林業技術交流発表会において、秋田樹木管理研究会が「ツリークライミングを基本とした特殊伐採について」というテーマで発表を行っています。
今後研究が進み、教育体系が整えられれば、さらに高度な特殊伐採を行うこともできるようになるかもしれません。
参考: 東北森林管理局「令和元年度森林・林業技術交流発表集」
持続可能な森林管理にも必要な技術であるため
豊かな森林を守り、維持するためには継続的な管理が必要となりますが、森林の維持・管理にも特殊伐採の技術が使用されています。
例えば関東森林管理局では、「固有森林生態系修復事業(外来種対策)」を行い、小笠原諸島の国有林を外来種から守るために特殊伐採の技術を使用しています。
住宅地の危険木だけでなく、周囲の自然環境への影響に配慮しながら対象木を処理する技術としても、特殊伐採が活用されていることがわかります。
日本国内の美しい森林を維持管理するためにも、今後は特殊伐採の技術がさらに活用されていくのではないでしょうか。
参考: 関東森林管理局「固有森林生態系修復事業(外来種対策)」
特殊伐採のやり方
特殊伐採の代表的なやり方を3つご紹介します。
- 吊るし切り
- ツリークライミング
- クレーンの併用
特殊伐採は高所作業や重量のある枝・幹の吊り下げを伴う危険性の高い作業です。専門的な知識や設備がない状態で行わず、専門業者へ相談してください。
吊るし切り
吊るし切りとは、伐採した木や枝をロープなどで吊り下げた状態で切断し、周囲に落下させずに地上へ下ろす特殊伐採の手法です。
建物や道路、電線などが近く、切った木をそのまま落とすことが難しい場所で用いられます。
吊るし切りに必要な道具と、その基本的な手順をご紹介します。
吊るし切りに必要な道具
吊るし切りでよく使用される道具は以下の通りです。
| 道具 | 用途 |
|---|---|
| ロープ | 切断する木や枝を吊り下げたり、地上へ下ろしたりするために使用 |
| ハーネス | 作業者の身体をロープなどに接続し、高所での作業を支えるために使用 |
| チェーンソー | 木や枝を切断するために使用 |
| カラビナ | ロープやハーネスなどを接続するために使用 |
| 滑車 | ロープの方向を変えたり、木や枝を下ろす際の力を補助したりするために使用 |
吊るし切りでは、作業環境や伐採方法に応じて使用する道具が変わります。
吊るし切りの手順
一般的な吊るし切りの流れは次の通りです。
- 周囲の建物や電線、道路といった作業環境を確認し、落下場所の確保と道具の準備を行う
- 木や枝にロープなどを取り付け、切断した部分が落下しないように吊り下げる
- 木や枝を切断し、ロープで支えながら地上へゆっくり下ろす
実際には、専門業者が現場の状況に応じて安全を確保しながら実施します。
ツリークライミング
ツリークライミングとは、ロープや専用の器具を使って樹木に登り、樹上で枝の切断などの作業を行う特殊伐採の手法です。
高所作業車などを入れることが難しい場所でも、ロープを使って樹上へ移動できるため、住宅街や傾斜地などで活用されます。
ツリークライミングに必要な道具と、その基本的な手順をご紹介します。
ツリークライミングに必要な道具
ツリークライミングでよく使用される道具は以下の通りです。
| 道具 | 用途 |
|---|---|
| クライミングロープ | 樹木への昇降や樹上での作業時に、身体を支えるために使用 |
| ハーネス | クライミングロープなどと身体を接続し、樹上で姿勢を安定させるために使用 |
| ヘルメット | 落下物や枝などから頭部を保護するために使用 |
| チェーンソー | 樹上で枝や幹を切断するために使用 |
| カラビナ | ロープやハーネスなどを接続するために使用 |
ツリークライミングでも、作業内容や現場の状況に応じて使用する道具が変わります。
ツリークライミングの手順
一般的なツリークライミングの流れは次の通りです。
- 周囲の建物や電線、道路といった作業環境を確認し、落下場所の確保と道具の準備を行う
- ロープや専用の器具を使用して樹木に登り、作業する位置まで移動する
- 安全を確保したうえで、チェーンソーなどを使って枝や幹を切断する
ツリークライミングも、専門業者が現場の状況に応じて安全を確保しながら実施します。
クレーンの併用
クレーンの併用とは、特殊伐採にクレーンを組み合わせ、切断した木や枝を吊り上げたり、地上へ下ろしたりする方法です。
大型の樹木や重量のある枝を伐採する場合や、建物・道路などが近く、切断した木や枝をそのまま落とせない場合に用いられます。
クレーンを使って伐採する木や枝を保持した状態で切断し、そのまま吊り上げて搬出することで、周囲への落下を防ぎながら作業できます。
特殊伐採にかかる費用の相場
特殊伐採にかかる費用について、原稿で参照している林野庁の資料では、特殊伐採について「50,000円/人」との記載があります。
ただし、これは緑地開発の施工料金ではなく、資料上に記載されている金額です。また、実際の特殊伐採費用は、作業環境や木の状態によって大きく変わります。
特殊伐採の費用が変わる主な条件
- 木の高さや太さ
- 枝の量
- 伐採する本数
- 住宅・道路・電線などとの距離
- 作業する人数
- クレーンなど重機を使用するか
- 重機や車両を搬入できるか
- 傾斜地など作業場所の難易度
- 切断した枝・幹などの処分量
正確な費用を知りたい場合は、業者に現地を確認してもらったうえで、個別に見積もりを依頼するのが望ましいでしょう。
危険木伐採では補助金を利用できる場合がある
特殊伐採にかかる費用を抑えたい場合、自治体によっては危険木伐採の補助制度を利用できることがあります。
原稿で紹介されている、危険木伐採に関する補助制度の例は以下の通りです。
| 地方自治体名 | 補助制度 |
|---|---|
| 群馬県片品村 | 片品村危険木緊急伐採等整備事業補助金|片品村役場 |
| 愛知県豊田市 | 危険木伐採事業補助金|豊田市 |
| 青森県八戸市 | 令和8年度八戸市山林内危険木伐採支援事業補助金|八戸市 |
| 京都府京都市 | 危険木等伐採支援事業について|京都市 |
| 兵庫県三田市 | 危険木伐採等事業補助金について|三田市 |
補助制度の有無や対象条件、補助額、申請期限は自治体によって異なります。また、年度によって制度内容が変更・終了する場合もあります。
利用を検討する場合は、必ずお住まいの自治体で最新情報をご確認ください。
特殊伐採が必要かどうか判断するポイント
庭木が大きくなっているからといって、必ずしも特殊伐採が必要になるわけではありません。
通常の伐採で対応できる場合もありますが、次のような状態であれば、専門業者に現地を確認してもらうことをおすすめします。
- 木が住宅や道路側へ大きく傾いている
- 高所に大きな枯れ枝や折れそうな枝がある
- 電線や屋根に枝が接触・接近している
- 木が大きくなりすぎて倒すためのスペースがない
- 建物に囲まれた狭い場所に高木がある
- 傾斜地などで重機や高所作業車を使用しにくい
- 幹の腐食や空洞などが見られ、倒木が心配
特殊伐採が必要かどうかは、木だけを見るのではなく、周囲の建物・道路・電線・隣地との位置関係や、作業車両を搬入できるかなども含めて判断します。
特殊伐採をしたい樹木がある方は緑地開発にご相談ください
自宅敷地内に、特殊伐採が必要だと予想される樹木がありお困りの方は、緑地開発にお声がけください。
緑地開発では、作業前に現地調査を行い、木の状態や周囲環境を確認したうえで、最適な方法をご提案しています。
「特殊伐採が必要なのかわからない」「通常の伐採で対応できるのか知りたい」といった段階からご相談いただけます。
また、ご家族の安心・安全の確保のため、緑地開発では伐採・抜根後に発生する枝・幹などの廃材処理にも対応しています。
詳しいご相談・お見積もりは、 造園・外構の無料相談・見積り|緑地開発 よりお問い合わせください。
まとめ
特殊伐採とは、大型重機が使えない住宅街や傾斜地などで、作業員がロープ技術を活用しながら樹木を少しずつ切り分け、安全に伐採する方法です。
代表的な方法には、切断した枝や幹をロープで地上へ下ろす「吊るし切り」、ロープなどを使って作業員が樹上へ登る「ツリークライミング」、重量のある枝や幹を安全に搬出するための「クレーンの併用」などがあります。
特殊伐採は、高所作業や重量物の吊り下げを伴う専門性の高い作業です。敷地内に危険木かもしれない木や、通常の方法では切り倒しにくい木がある場合は、無理に自分で伐採せず、家族や周囲の安全のためにも早めに専門業者へ相談しましょう。


